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A Clean,Well-Lighted Place

最近、『清潔な明るい店(A Clean,Well-Lighted Place)』というヘミングウェイの短編の一部分を思い出します。

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突然の邂逅

長い道のりになるなあと覚悟していたそのとき、突然出くわしました。

例の記事に。

(下の写真は、近所で50%オフで売っていた宝島5冊。もちろん1988~1991あたりの持ってない号です。

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あの記事をもう一度

またしても一か月ほど空いてしまいました。

いままであんまり人にしゃべったことがない(と思う)んですが、ひそかに収集しているものがあります。

それは、雑誌『宝島』のバックナンバー。

懐かしいからだけじゃありません。高校時代に読んだ、とある1ページの記事を探しているのです。

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クインシー・トループ/中山康樹『マイルス・デイビス自叙伝 (I)(II)』

 いろんな人に薦められたので、ついに読んでみた。

 ……メチャオモロいよ! マンガみたいなスピード感。

マイルス・デイビス自叙伝〈1〉

マイルス・デイビス自叙伝〈2〉

 たとえるなら、ジャズ版『プロレススーパースター列伝』です。まあ、あんなにウソばっかりじゃないだろうけれども。  

 一番驚いたのが、モダンジャズの名盤のほとんどが、食うに困ったヤク中かアル中か、もしくはその両方のロクデナシから生み出されたものだということ。

ヤク欲しさにレコーディングに参加→そのギャラでまたヤクを買う→繰り返し

 みたいな感じです。ほんと。

 で、これまた出てくるエピソード(というかゴシップ)が、真偽はともかくオモロい。以下、個人的に気に入っているものなど(順不同。思い出した順)。

  • ジャッキー・マクリーン(as)はロクデナシだ
  • チャーリー・パーカー(as)はもっとロクデナシだが、最高の演奏をする
  • マックス・ローチ(dr)は、優柔不断だ
  • マイルスは、ジュリアード音楽院に通っていたが、つまらなくなって辞めた
  • パリでジュリエット・グレコ(女優)と会ったとき、マイルスは一目で恋に落ちた
  • ディジー・ガレスピー(tp)とコールマン・ホーキンス(ts)は人間的にも素晴らしい
  • 警察にガサ入れされたとき、一緒にいたアート・ブレイキー(dr)が、本名を偽ったため、マイルスもブタ箱に入れられた
  • キャノンボール・アダレイ(as)は、もともと教職に就いていた
  • マイルスは、自分のグループにアーマッド・ジャマル(p)を入れたかったが、断られたので、レッド・ガーランド(p)を入れて、「ジャマルのように弾け」と強要した
  • マイルスとウィントン・マルサリス(tp)は仲が相当悪い
  • ジョン・コルトレーン(ts)は練習の鬼だった
  • ギル・エヴァンス(arr)は、野球帽をかぶってジャズ・クラブに出入りし、野菜をかじりながらマイルスの演奏を聴いたかと思うと、そっと近づき、耳元で的確なアドバイスをささやいていた
  • 電気ショック(治療?)を受けてから、バド・パウエル(p)はダメになってしまった
  • クリフォード・ブラウン(tp)が死んだとき、マイルスは相当ショックを受けた
  • ビル・エヴァンス(p)がグループに参加したとき、「俺のグループに入ったんだったら、メンバーみんなとヤらなきゃな」と冗談を言った(どんな冗談だ)。しばらく席を外したエヴァンスは、帰ってくるなり「マイルス、やっぱりそういうことは僕にはできない」と真剣に答えた
  • 一時期在籍していたトニー・ウイリアムズ(dr)に、マイルスは全幅の信頼を寄せていた
  • 弱小のプレスティッジから大手のコロンビアに移籍したニュースを聞いて、「息子が一流レーベルに吹き込むなんて、出世したなあ」と歯科医の父親が一番喜んだ
  • マイルスは、ジミ・ヘンドリックス、プリンスとも交流があった
  • 「黒人だから」という理由で、不当な扱いを受けるのを何より嫌い、黒人であることに高いプライドを持っていた。そういう意味で、大好きなルイ・アームストロング(tp)のエンターテインメントな振る舞いも断じて認めなかった
  • この本は、たった三日間のインタビューを元にしてある

(as)……アルトサックス
(ts)……テナーサックス
(tp)……トランペット
(p) ……ピアノ
(dr)……ドラム
(arr)……アレンジャー

 まだまだいっぱいあると思うけども、本が手元にないので、このぐらいで。

 この本読んで、ちょっとマイルスが好きになったなあ。ゴシップ好き、ジャズ好きなら、読んでみる価値はあると思う。

【興奮度】 ★★★★★

◆本日の名盤……薦められるがままに、『オン・ザ・コーナー』『1958マイルス』『スケッチズ・オブ・スペイン』『マイルス・アヘッド』『リラクシン』『バース・オブ・ザ・クール』『ビッチェズ・ブリュー』『ゲット・アップ・ウィズ・イット』『死刑台のエレベーター』と買ってきましたが、やっぱり何度も聴くのは、「夜の静寂」みたいなこのアルバム。ジャズで最も売れたレコードらしいですね。トランペットが入ってくる部分は、何度聴いても最高にスリリングです。名曲「ソー・ホワット」収録のマイルス・デイヴィス Kind of Blue(1959)

Kind of Blue

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飯倉片町『キャンティ』と野地秩嘉『キャンティ物語』

 三年ほど前に、『あの日にかえりたい。~東京キャンティ物語~』という番組を観た。

 普段見ないテレビ番組のことをなぜそんなに鮮明に覚えているかというと、ちょうどそのとき妻とその両親とで箱根を旅行していて、その旅先でたまたま観たからだ。番組自体は、いかにも代理店的なうわっついた感じだったが(脚本は小山薫堂)、『キャンティ』に興味があったので結構真剣に観た覚えがある。

 イタリア料理屋『キャンティ』のことはすでに知っていた。加賀まりこ、三島由紀夫、ムッシュかまやつ、安井かずみ、そして松任谷由美……そんな連中がたむろしていた場所として、あまりにも有名だったから。

 確か、10年ほど前に買った『BRUTUS』の歌謡曲特集でも、『キャンティ』の名前を見た気がする。↓これ

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 別件で『キャンティ』の名前が出てきたので、このテレビ番組のことを思い出し、そのネタ本となった野地秩嘉『キャンティ物語 』という本を読んだ。

キャンティ物語

 これは、『キャンティ』を作った人物、川添浩史・梶子夫妻のことが中心に記された本だ。エピソードとして、上に挙げたような人物たちがときおり顔を出すものの、夫妻の半生記にほんの添え物程度にしか登場しない。だから、その部分に期待していた自分はちょっとがっかりした。

 まあ、それを差し引いても、60~70年代の東京を知るにはなかなか興味深い本であることには違いない。

 で、この本を読んでいる最中のこと。とある会社のプレゼンで、本当に滅多に足を踏み入れない御成町を訪れた。プレゼン結果は惨敗。あまりにもイライラしたせいもあって、同僚と東京タワーを見ながら、御成門を過ぎ、赤羽橋も過ぎ、六本木に向かって歩いていた。

 なにげなく見た先に……、

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 あ! 『キャンティ』だ! 一人だけ興奮して、思わず写真に撮る。同僚は呆れ顔。そりゃそうだな。

 滅多にこない場所で、今読んでいる本の主役と偶然出くわす……もちろん、店自体が続いているのは知っていたし、興味はあったが、特に訪れたいとは思っていなかった。どちらかというと興味があるのは、今もある店そのものよりも、昔のストーリーの方だったから。  

 ひとつのことを調べているときに、ときおりこうした偶然が起きる。まるで、不思議な力に吸い寄せられたかのように。

【驚き度】 ★★★★★

◆本日の名盤……この店のことを知ったとき、その立地といい、雰囲気といい、輩出した人材といい、実に東京らしい場所だなと思った。そして、彼女の作る歌は、その雰囲気と実にマッチしていた。名曲「曇り空」収録の荒井(松任谷)由美ひこうき雲(1973)

ひこうき雲

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伊丹由宇のグルメガイド

 大体、メディアで紹介されている店なんて、紹介したい方と紹介されたい方の政治的思惑が一致したものが出てくるわけで、「こんな美味い店、絶対にみんなに教えたい!」などという善意に基づいている記事なんて、皆無に等しいでしょう。

 だから、美味い店は、嗜好の合う人に教えてもらうのが一番です。確実だし。

 そんな中、唯一といっていいほど信用しているのが、漫画誌『ビッグコミックオリジナル』に連載されている、「こだわりの店不親切ガイド」。書いている人は、伊丹由宇という人物。プロフィールによると、団塊の世代生まれで、四つのペンネームを使い分けている作家のようです。

 『美味しんぼ』の雁屋哲が、美味を追及する過程で、社会批判へと傾斜していったのは評価が分かれるところです。面白い部分もあるし、必要なことでもあるのは重々承知の上ですが、もっと気軽に美味いものを楽しみたい……そういう不埒な気持ちを満たしてくれるのがこのコラムです。

 彼のモットーは、

・美味い
・安い
・店の雰囲気がいい
・志がある

 おお、偶然ですが、これは僕のモットーとほぼ同じではありませんか。

 毎回、このコラムを読み、ビリビリと破って(大体変な風に破れる)、そのままどこかに置き忘れてしまっていた僕の目に、ある日気になる一文が飛び込んできました。「絶賛発売中!」

 え、何が?

 と思ったら、このコラムをまとめた本すでに出ているんですね。第二弾発売直後だったようです。

超こだわりの店乱れ食い』(第一弾)

超こだわりの店百番勝負』(第二弾)

 その翌日、なぜか第二弾を早速手に入れ、今チラチラ読んでいます。ここも行こう。これも食べたいな~なんて思いながら。 

 今狙っているのは、駒込にある和菓子屋『中里』の揚げ最中です。美味そう!

 ……ただ、僕、伊丹氏オススメの店には一軒も行ったことないんですけどね。

 その土地を旅したことのない人に、旅先の雰囲気を文章で伝えることが作家の仕事のひとつだとするのならば、彼は十二分にその職務を全うしていると言えるのではないでしょうか。ああ、腹減った。

【よだれ度】 ★★★★★

◆本日の名盤……彼の文章は、下町の店を舞台にしているときの方が、生き生きしているように見える。特に、上野浅草。上野→花見とくれば、エレファントカシマシの名曲「上野の山」か、そうでなければこの曲しかない。名曲「春らんまん」収録のはっぴいえんど 風街ろまん 』(1971)。

風街ろまん

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山本素石『つりかげ』

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 やっと読了。

 山本素石(やまもとそせき)という名前は、ブログ番長S氏に教えてもらった。確かこんな会話だったと記憶している。

 S氏「釣りがお好きなんですか?」

 「ええまあ(あんまり釣れたためしがないので口ごもる)」

 S氏「何釣りですか?」

 「海釣りです」

 S氏「そうですか」

 「お好きなんですか?」

 S氏「僕は渓流釣り……というか『釣り文学』が好きなんです」

 「『釣り文学』!? そういうジャンルがあるんですね。開高健とか、井伏鱒二とか、ヘミングウェイとか、アイザック・ウォルトンとかそういうヤツですか?」

 S氏「そうですね。ただ、僕が一番好きなのは山本素石です」

 それまでにも、彼の博識ぶりは言葉の端々に現れており、そのたびに内心感心していたものだが、この名前を聞いたとき、この人物はただものじゃないぞ、と本格的に思い直した。「ほんまもんの本好きだ」

 実際に、彼イチオシの本書を読み終えて、まずそのときの確信が正しかったことがわかった。本好きの好みそうな、実にシブい本である。

 内容は、ひとことで言えば、戦前・戦後の混乱期を、絵付けなどをしながら関西方面の渓流を釣り歩いた著者の半生記である。これが、山本氏独特のシニカルでへそ曲がりな視点で綴られる。

 それは、この本の裏テーマである、秋本某という女性とのあれこれを描くときにも一貫していて、決して描写が甘くない。感傷的ではないのだ。

 釣りの話も、女性とのやり取りも、師匠・山野秋邨氏の人柄もどれも面白いが、一番ひかれたのは、渓流釣りで奥地に出向いた先で耳にする土地の話だった。

 夜這いのマナー、切り傷・火傷に効くムカデ脂の作り方、「山小屋で七人で寝てはならない」という禁忌、100年前村にいた美人のことを今のことのように語る男、筏流し(材木を束ねて筏状にして運搬する)などなど、実際に山を歩き、無名の人々の懐に入らぬと聞けぬような貴重な話ばかりである。実に力強い説得力を持った言葉たち。

 ふと「著者の何事にも平易に流されない姿勢は、まるでS氏そのもののようだ」と思った。

 本を読み終えようとして、盛川宏という人の解説文の書き出しに(釣師ではないけれども)ギクリとする。

 「心に傷があるから釣師は家を出る。ただし彼はそのことに気がついていない。その傷がなんであるかを知らないーー。」(『緑の水平線』林房雄)

【枯れ度】 ★★★★★

◆本日の名盤……「枯淡の境地」とはこういうことなのかもしれんなあと思ったのはこのアルバム。妙にワビサビや、間の美学など日本的なものを感じる戦前ブルースの巨人・ロバート・ジョンソン『キング・オブ・ザ・デルタ・ブルース・シンガーズ(紙ジャケット仕様)』(1966)。

キング・オブ・ザ・デルタ・ブルース・シンガーズ(紙ジャケット仕様)

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阿部昭『単純な生活』

 単純な生活

 ずいぶん前に読みたいと思って手に入れておいた阿部昭『単純な生活』を読んだ。

 自分もこの著者同様、常日頃からシンプルにただ静かに生活を過ごしたいと思っているクチだが、祭り好きの呪われた血のせいか、それとも元来静かな生活が好きではないのか、気が付くと喧噪の中にいる。

 この少し偏屈な小説家も、同じことを考えつつも、日々の出来事に翻弄される。子どもの受験、妻の病気、心臓病など(個人的には、舞台が湘南というのもポイントが高い)。誰にでも起こりうる、そんな出来事を著者は淡々と記録し続ける。その抑制された筆致とが実に心地よい。熟練のホテルマンのような無駄のなさ。

 すぐ読んでしまうのがもったいなくて、ちびちびと読んでたら、ずいぶんと時間がかかってしまった。

 いつか、こんなしみじみとした文章が書ける年齢が訪れるんだろうか。

【レイドバック度】 ★★★★★(満点)

◆本日の名盤……ゆっくりと、ゆっくりと爪弾かれるバンジョーに乗せて、お世辞にも上手いとは言えないピート・シーガーが歌い出す。アメリカ民謡のはずなのになぜか故郷のことが頭に浮かぶ。ピート・シーガー「ホーム・オン・ザ・レンジ」収録のAmerican Favorite Ballads, Vol. 1』(2002)

American Favorite Ballads, Vol. 1

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