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平本アキラ『アゴなしゲンとオレ物語』

 同僚の UMA ちゃんからマンガを借りる。

 UMA ちゃんは、貸したぽん竜太『ポンズ百景』で爆笑していたから、きっとツボは同じに違いないと思い、一番好きなマンガをたずねると平本アキラ『アゴなしゲンとオレ物語 』という。

 早速三冊ほど借りて読んでみた。……ひどい。汚い。下品。なんというか、きっかけがないとやっぱり読まないかなあ~と思ったけども、読んでいるうちにだんだん面白くなってきた。

 運送会社を経営する、アゴなしゲンという32歳の嫉妬深い幼稚なオトコが、その部下のケンヂと繰り広げるギャグマンガだが、そのどうしようもなさがイイ。

 あるときは、ダッチワイフと山篭りし、クイズ番組であてられると緊張で失神しそうになり、小学生と遊びながら陰で……いや、ひどいんだってとにかく! そのひどさを味わいために、巻を進めている感じか。怖いもの見たさで。

 絵の汚さ(書き込みの多さ)は、東陽片岡、青木雄二、汁っ気の多さは徳弘正也、果てしないくだらなさは地下沢中也。あと、おまけで扉の対向ページに描いている4コマのブラックさは、まるでエドワード・ゴーリーの『ギャシュリークラムのちびっ子たち―または遠出のあとでみたいだと思った。

 で、平本アキラというと、『俺の悪魔のブルーズ』の装丁(値段は1冊666円)がステキだったなあなんてことを思い出して、二冊ほど買ってみた。

俺と悪魔のブルーズ 1 (1)俺と悪魔のブルーズ 2 (2)俺と悪魔のブルーズ 3 (3)

 『俺と悪魔のブルーズ』は、RJ という黒人の主人公が、1920年代のアメリカを旅する物語。そう、ブルースが好きな人ならご存知の、十字路(クラークスデイル)で悪魔に魂を売るという、あの伝説が元になっている。読んでみると、実に骨太で面白い。この人、こんなに絵も話も上手かったっけ?

ブルーズ好きなら、ぜひオススメします。ちなみに三巻は、まだもったいなくて読んでいない。

【下品度】 ★★★★★

◆本日の名盤……中学のとき、クラスでかなり頭のよかったエスミさんという女の子が、卒業文集にこの曲の歌詞をまるまる引用していた。「でも、僕はまだ自分の探しているものが見つからない」とリフレインする歌詞に15歳の彼女は何を託したかったのだろうか……この曲を聴いていて、ふとそんなことを思い出した。名曲「アイム・スティル・ハヴント・ファウンド・ホワット・アイム・ルッキング・フォー」収録の U2 ヨシュア・トゥリー(1987)

ヨシュア・トゥリー

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マンガの話

 すっかりご無沙汰してしまいました。

 とりあえず、なんか書いておかないとこのブログの存在さえも忘れそうになってきて怖いです。

 先日、しつこくマンガを貸し続けている後輩 K さんから「オススメマンガのリストをください」的なことを言われたこともあり、ちょうどいい機会なので備忘録程度に書いておきたいと思います。トラックバック野郎もトラバ募集していることだし。

 ちなみに、 K さんは年のわりにヘヴィーなもの好きなので、手始めに貸したのは、

●ジョージ秋山『捨てがたき人々』
こんな悟りきった作品が描けるジョージはやっぱりすごいと思う

●諸星大二郎『汝、神になれ鬼になれ
入門編として。言うまでもなく最高です。個人的には「鎮守の森」がシビれました

●比嘉慂『カジムヌガタイ-風が語る沖縄戦』
重た~い話なのに、読後感がさわやかなのは絵のせいだと思う

 です。気に入ってくれればいいんですが。

 さて、オススメ作品もついでに。

【思いついた順で】

1)山田芳裕『大正野郎』
人格を決定づけた一冊。『やあ!』も『考える侍』も『しわあせ』も、『へうげもの』もいい

2)杉浦日向子『百日紅(さるすべり)』
江戸漫画の傑作。いや、漫画と言っていいんだろうか。すごい境地に到達してます

3)谷口ジロー/久住昌之『孤独のグルメ』
ただただ食べるだけの漫画なのに、不思議と印象に残る作品。よく、この漫画の主人公に似ていると言われます

4)諸星大二郎『不安の立像』
漫画を読んでて本当にゾッとしたのは、後にも先にもこれだけです

5)関川夏央/谷口ジロー『坊ちゃんの時代』
漱石がかなり好きなので、これは興味深く読みました

6)土田世紀『俺節』
演歌漫画。汚らしくて、暑苦しくて、救いも何もない。で、いまだに6巻までしか持ってない

7)手塚治虫『ザ・クレーター』
全部オモロイんですが、「溶ける男」と「いけにえ」という話がとても印象的

8)手塚治虫『アドルフに告ぐ』
最高傑作。こういうの読んでたらもうちょっと近代史に興味持ってたと思う

9)つげ義春『紅い花』
「海辺の叙景」の煮え切らない男女がとても好きです

10)大友克洋『ハイウェイスター』
「星霜」「さよならのおみやげ」、「つゆのあとさき」もこれだったかな。短編小説のようです

11)寺沢武一『コブラ』
ハードボイルドなスペースオペラ。ほとんど裸の女性キャラももちろん好き

12)鴨川つばめ『マカロニほうれん荘』
笑いや、ロック、エロなどなど、必要なものがすべて詰まっています

13)勝鹿北星/浦沢直樹『MASTERキートン』
これを読むと、なぜか説教されているようで背筋が伸びます

14)狩撫麻礼/かわぐちかいじ『ハード&ルーズ』
主人公の石頭具合(物分りが悪い)がとても心地よい

15)永島慎二『漫画家残酷物語』
読み終わった後、自分も四畳半にいるような錯覚に陥ります

16)石塚真一『岳』
山岳救助漫画。セリフがいちいち泣ける

17)真鍋昌平『闇金ウシジマくん』
エゲツなさでは一番。かなりエグいので読むときは注意

18)竹熊健太郎/相原コージ『サルでも描けるまんが教室』
禁じ手をあえて使った傑作。とてもタメになります

19)ぽん竜太『ポンズ百景』
普通に読んでて、爆笑しました

20)入江喜和『杯気分!肴姫』
何度読んでも泣ける下町人情話。日本人でよかった

21)とだともこ『酒場ミモザ』
京都に行きたくなります

 ……止まらなくなってきたので、このへんにしておきます。まだまだ書き足りないけど。

【オススメ度】 ★★★★★

◆本日の名盤……マンガを読むときは、大体何か音楽をかけていますが、僕にとってそれは、言うまでもなく至福の時です。やっぱりリード兄弟は最高。フィードバックノイズが快感! の名曲「ジャスト・ライク・ザ・ハニー」収録のジーザス&メリー・チェインPsychocandy(1985)。 

Psychocandy

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(去年の)夏季休暇を消化しました

 いや~、休みましたよ。金、月、火と。だから5連休か。

 んで、ナニやってたかっていうと……別になんにもしてまへん。

 詳しくはまた書きますが、

●長兄に息子が生まれたのでそのお祝いに行った

●妻が風邪を引き、子守りや洗濯やら料理やらした

●すると風邪が娘にもうつったらしく、小児科に連れて行った

●その合間を縫って、中古盤屋や古本屋をめぐった

 大体これで全部です。シケてるって? シケてますなあ確かに。

 でも、一緒にいる時間が増えたおかげで、ようやく娘と打ち解けた気がしましたよ。これホント。

 それと、その合間に買ったマンガがどれも良かったので、ちょっとだけご報告。

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AV烈伝 4 (4) 井浦秀夫

これ、ほんとおもろいです。ワタクシ、マンガを読むのは滅法早いクチですが、これはもったいないので時間をかけて読みます(それ以前に文字情報が多いんですけどね)。いろいろ考えさせられます。毎回表紙も秀逸。

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サユリ1号 5 (5) 村上かつら

大学時代のぬる~い感じをこれでもかというぐらいリアルに切り取っています。傷口に塩を塗るような、エグいセリフも見たいような見たくないような。怖いもの見たさに近いですね。浅野いにおの『ソラニン 1 (1) 』も同様の痛さを感じます。

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ポンズ百景(1) ぽん竜太

読みながらゲシャゲシャ笑ってたら、妻に怪訝な顔をされました。ぜひとも、お笑い好きの同僚・ I さんに読ませたい! マンガのフォーマットを借りた吉本新喜劇。それにしても、大橋ツヨシ『エレキング』といい、榎本俊二『えの素』といい、週刊モーニングはギャグマンガのレベルが高いような気がします(単に好みなだけかもしれませんが)。

【命中度】 ★★★★★

◆本日の名盤……最近、ブログ更新しないねなどと言われたりするのは非常にありがたいことですが、ホント音楽聴いてないんですよね。だから、連動してブログも書けないんです。しょうがないので、一番最近買ったCDを紹介。名曲「ラサーラ」収録のバービー・ボーイズ『3rd Break』(1986)。とっくに廃盤なんですな。

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久々のヒット

   日曜日。

 出社する必要があり、ついでに欲しいマンガが二冊あったので渋谷へ。

 一冊はブックファーストでカンタンに見つけたものの、もう一冊が見つからない。それでもしつこく探し回ったら、駅から一番近い啓文堂で見つけた。

4091875912 一冊は、東周斎雅楽/芳崎せいむ『テレキネシス山手テレビキネマ室』。ウンチクものというか、古い映画のガイドとして読んでいる。映画のこと全然知らないので。http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4091875912/qid%3D1122308975/250-9604390-4192206

 こっちはまあ、再読してこんなもんかと思ったけど、二冊目は違った。

4091875718探し回った方は、石塚真一『岳 みんなの山』。親しい人はご存知かと思うが、僕は週刊誌を週に何誌も買うのに、ほとんど単行本は買わない。買うのは、相当心にひっかかったものだけ。そして、この本は誇張ではなく、広告を見た瞬間買いに走った。 http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4091875718/qid%3D1122308735/250-9604390-4192206

 ビッグコミックオリジナルの不定期連載→ビッグコミックオリジナル増刊連載というのもシブいじゃないですか。

 「山岳救助もの」と一言で括ればそれまでだが、アマゾンのレビューでも指摘してある通り、主人公が『マスター・キートン』に似ている……そういえば、『マスター・キートン』も同誌連載だった。偶然だが、『テレキネシス山手テレビキネマ室』の東周斎雅楽が同じく原作を手がける『イリヤッド』も同誌連載。こちらは明らかに『キートン』の二匹目のドジョウを狙っているけど、本家ほどクールではない。

 話を戻そう。『岳』の主人公・三歩も、キートン同様、人懐っこくて、飄々としていて、そして実にプロフェッショナルである……『マスター・キートン』と違うのは、人の生き死にに対して感傷があまり感じられないところか。登山家というものは、ここまでドライに命を扱えるものなのか? とにかく、登山という一見地味なテーマでこれだけの物語を紡ぐことのできる石塚真一を、今まであまり知らなくて本当に反省した。きっと、ビッグコミックオリジナルで連載している『東京チェックイン』がイマイチだったからだ。そうに違いない。

 参った。こんなに面白いと思ったのは、尾瀬あきら『光の島』、真鍋昌平『闇金ウシジマくん』以来だな。みなさんも機会があればぜひどうぞ。

本日の名盤……本当に「こりゃすげえ」というものに出会ったときって心臓がドキドキして、いてもたってもいられなくなる。この曲に出会ったときもそうだった。なぜか僕はそのとき東京行きを決心した。「オブ・ラ・ディ・オブ・ラ・ダ」収録のビートルズ『ザ・ビートルズ』(1968)。

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